WITH ME ELISE story

第2話  「ELISEオーナー共通の悩み」

 

 

1、 マフラー製作

エリーゼの悩みの種といえば、まず間違いなくローバー製Kシリーズのエンジンフィールと誰もが言うだろう。そこでまず取りかかったのが、マフラーの製作である。
当初、タコ足から造る計画もあったのだが、STDのエキパイがそこそこしっかりとした造りであることから、触媒以降を製作することにした。コンセプトとしては、エリーゼのエンジン性能を引き出すことはもちろん、軽量化によるシャーシ性能の向上も狙うこととした。STDのマフラーはセンター2本出しだが、軽さを優先、なるべく無駄な物を排除、1本出しとすることに。また、ゆくゆくはエンジン内部まで手を加える予定でいたことから、ハイカムを組んだときに起こりやすい低中速のトルク薄をカバーできるようなパイプ径をチョイスしていることも設計のポイントだ。結果、完成したのが現在装着しているマフラーだ。重量は約7キロで、STDマフラーより9キロ(!)も軽く仕上がっているのだ。材質はオールステンレス製で、製作を担当するのはフォーミュラーニッポンに出場しているマシンのエキゾーストを手掛けているスタッフ達。つまり、品質については折り紙付だ。それと、サーキット走行にも対応できるよう、触媒アダプターも同時開発。もちろん、STDの触媒はそのまま使用できるので、マフラーを装着したままでも車検に通すことができるのだ。
このマフラーを装着した染野氏によると、特に6000rpmからエンジンが伸びるようになったという。この仕様、つまりマフラーのみを交換した状態で、染野氏は初めて4輪のレースに参加する。SCCJ主催のエリーゼカップで、染野氏の最速ラップは、1分12秒フラットであった。これが今後の基準タイムとなるわけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


サーキットでは、車体のロールがすごい!

 

2、 足回り交換

この、レースにはSタイヤを装着したトロフィオも参戦しており、タイムは7秒台。これに追いつき、追い越すには何をすべきか。次に取りかかったのが、足回りのモディファイだった。
エリーゼにはお世辞にもグリップが良いとは言えないOEMタイヤが装着されている。もちろん、これはロータス社が意図しているものであって、公道での楽しいハンドリングに一役買っている。ただし、サーキットという特殊な条件下で最速を目的とするなら話は別だろう。そこでまず、レギュレーション上で認められているSタイヤを装着することになった。ホイールはそのままでも良かったのだが、リム幅の関係で選べるSタイヤの銘柄がヨコハマしかなかったこと、またバネ下重量の軽減を図りたかったことからTMRエンジニアリングよりリリースされているPodiumに交換することになった。この状態でどの程度タイムが詰められるか気になるところだが、既にOEMタイヤの状態でもサーキットでは非常に車体のロールが大きく、これが格段にグリップ力の高いSタイヤだと、足回りの負担は相当になる。ということで、同時にサスペンションも交換することにしたのだった。
サスペンションユニットは、自分たちでセッティングを変更したいと考えていたことから、ワンオフで造ることになった。当初、WITH MEがショーワ及びオーリンズの認証店であることから、オーリンズでと考えていたのだが、どうしてもエリーゼに使えそうな大きさのショックユニットがなく、ビルシュタインをベースに造ることになった。バネレート及びダンピング特性は、各部のロッドの長さを実測し、ゆくゆくは筑波で5秒台が出せることを目標に算出。結果、フロントは4,5,6kg/cm、リヤは6,7,8kg/cmのスプリングをオプションで製作し、あとは実走で組み合わせを変えることにした。
さて、2回目のレースでは、フロントに5kg/cm、リヤに7kg/cmのバネをチョイスし、もちろんSタイヤも装着した。フィーリングとしては筑波の最終コーナーでの踏ん張り感が向上し、タイヤのグリップ力が向上したこともあって、タイムは1分9秒929で前回よりも2秒以上のタイムを削ることができたのだ。しかし、染野氏にまったく不安がないわけではない。小さいコーナーでの回頭性がイマイチということで、フロントを4kg/cmに変更したが、今度は、回頭性は良くなったものの、オーバーステア気味になってしまったのだ。タイムは9秒台前半へと進歩したもののセッティング次第でまだまだタイムが詰められそうな雰囲気であった。
この症状を解消するべくウィズミーのメカニックと相談した結果、スタビライザーを強化する方向で加工を加えたところ、ナントか我慢のできる範囲で解消された。
染野氏によると、細かい突き上げ感は確かに増えたものの、首都高のギャップで跳ねるほどではないという。また、峠ではハイグリップタイヤとサスとのマッチングマッチングが良く、クイックなハンドリングが楽しめるという。一方で、「OEMタイヤとSTDサスによるロータス本来の味も捨て難いんですけどね」とも語っている。

第3話「エンジンチューン」につづく

 


フロント足回り装着後

 

 

 

 

リア装着後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


つくばの1ヘアを華麗に・・・